累計利用者数が2,500万人を突破した、英語学習サービスMOOC。オンラインで世界中の教育機関の講義を視聴できる画期的なプラットフォームとして、学校教育の場からはもちろん、社員教育の観点からも注目を集めています。
本記事では、MOOCの魅力や仕組み、おすすめの英語講座について紹介します。
これからMOCCを活用して英語学習を行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.「MOOC」とは
Massive Open Online Courses(通称:MOOC)とは、オーストラリア初のインターネットプラットフォームです。
「大規模公開オンライン講義」とも呼ばれるこのMOOCは、世界中の誰もがオンラインを通じて、大学の講義を基とした教育を無償で受講できるようにすることを目的に立ち上げられました。
実際に現在は、日本のどこにいてもインターネットを通じて、世界中の教育機関の講義を視聴することができ、サービススタート開始以降、多くの人に利用されています。
MOOCのプラットフォーム
MOOCには、さまざまなプラットフォームが用意されており、アメリカでは初期に設立された「Cousera」「edx」「Udacity」などのサービスが有名です。
日本国内においては、日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)を主体とした、「gacco」「Open Learning,Japan」「OUJ MOOC」「Fisdom」という4つの配信プラットフォームが、特に人気を集めています。
MOOCの仕組み
MOOC運営サイドが 、大学などの教育機関と提携を結び、提供用のプラットフォームを開発後、講師の講義動画を公開します。
受講者側はWEBサイトといった窓口を通じて、自由にMOOC内の講義動画を視聴することができます。 講義自体は10分間と短時間なものが多く、英語初心者の方でも気軽に受講することができます。
また、講義によってはディスカッションなどを通じて受講者同士で交流できるのもMOOCの特徴です。
講義の受講者は、MOOC運営者側へ講義内容をフィードバックを送信し、運営者はそれを基に講義提供側へ講義の環境を提供します。
MOOCの特徴的な仕組みのひとつとして「修了証を発行してもらえる講義も存在する」という点が挙げられます。修了証を取得できれば、転職・就職活動にも活用可能なため、受講時は修了証発行の有無を確認することをおすすめします。
日本でのMOOCの状況
日本でMOOCを利用する人はまだまだ少ない状況にあります。東京大学や早稲田大学のような有名機関の参画例もありますが、基本的には海外中心のイメージが強く、MOOCの存在自体を知らない大学・機関も少なくありません。
学生をはじめとする英語を学習したい人には素晴らしいサービスであるため、今よりもさらに多くの教育関係者に知ってもらうことが、今後の課題といえます。
日本版MOOC「JMOOC」
世界的に英語のみでの講義が行われてきたMOOCが拡大する一方、日本でもJMOOC(Japan Massive Open Online Courses = 日本オープンオンライン教育推進協議)が2013年11月に設立され、さまざまな講義が行われるようになりました。
JMOOCは「無料で学べる日本最大のオンライン大学講義」という特徴を掲げ、現在までに累計340講義が行われており、10代から80代まで100万人以上の人が受講しています。
2. MOOCのメリット・デメリット
世界で2,500万人以上の利用ユーザーを誇る画期的なサービスMOOCですが、まだまだ整備が整っていない分野も多く、利用にはさまざまな口コミが寄せられています。
ここからは、MOOCのメリット・デメリットについて紹介します。
MOOCのメリット
まずはMOOCのメリットを見ていきましょう。
いつでもどこでもオンライン学習が可能
無料で英語学習が行えるMOOCでは、受講者層に関するターゲットは制限されておらず、誰でも自由に受講することができます。
さらに、受講は全てオンラインで受けることができるため、インターネットの利用環境があれば、時間や場所に制限されることなく、いつでもどこでもオンライン学習に励ことが可能です。
様々な分野の講義がある
世界的な有名大学や、総務省などが提供するハイレベルな講義、さらには資格獲得や語学力向上に特化したコースなどといった、さまざまな分野の講義が用意されていることもMOOCの大きな魅力です。
それぞれのMOOCサービスによって、有する強みは異なるため、「何を学びたいのか」を明確にしたうえで、あなたにとって最適なサービスを選択することをおすすめします。
MOOCのデメリット
続いて、MOOCのデメリットを見ていきましょう。
モチベーションの維持が難しく、挫折しやすい
MOOCは、基本的に自宅などで自分ひとりで受講し、課題に取り組んでいきます。そのため、通常のオフライン学習のように、ほかの受講者や指導者からの刺激を受けにくい環境にあります。
こうした双方向性の学習がしづらいことから、数週間から数ヵ月間にわたる受講期間、ずっとモチベーションを維持することが難しく、受講料が無料であることも手伝って、途中で受講をやめてしまう人が少なくありません。
修了率が低い
前述した通り、MOOCは学習に対するモチベーションを維持することが難しいため、修了率が低いことも課題として挙げられています。最後まで受講し修了する受講者は平均で5~10%以下であり、90%以上の受講者が途中で受講を辞めてしまってます。
専門性の高い内容であるからこそ、内容の難しさについていけなかったり、学習を継続するためのサポートがないためモチベーションを持続できないなどの影響があるようです。
3. MOOCが注目を浴び、期待される効果
MOOCには、受講者視点でのメリット・デメリット以外にも、教育に関するさまざまな課題解消が期待されています。
ここでは、MOOCがこれほどまで多くの人から注目を浴びているその理由と効果について紹介します。
専門性が高い進歩の分野の最新情報が学べる
たとえば、医療や情報セキュリティといった専門性が高く、かつ進歩の早い分野に関する知識は、いちど身につけても時間の経過とともに技術が進歩するため、陳腐化してしまうおそれがあります。これらの分野に関わる実務者は、最新の知識をキャッチアップし続けなければなりません。
しかし、多忙な社会人が学習のために割ける時間は限られています。
そこで、インターネット環境さえあればどこからでも講義に参加できるMOOCの活用が期待されているのです。
また、分野としては、法律が改正されることで大きく実務面が変わってくるような法務や税務、財務といったところでも同様の活用が期待できます。
生涯教育の醸成
学習に対するモチベーションは、実務に活かすためだけにあるものではありません。いくつになっても知的好奇心は持っていたいという人間的心理から、厚生労働省も、生涯教育は個人の心の豊かさや生きがいにもつながるものとして推奨しています。
とはいえ、大学や専門学校へ通うためにはそれなりの学費と時間がかかります。
その点、MOOCを活用すれば、インターネット環境さえあれば高度な教育がほぼ無料で受けられるようになります。
さまざまなジャンルの幅広い講義が用意されているMOOCは、生涯学習にうってつけだといえます。
教育機関との連携
前項は社会人以降のライフステージに立つ人を対象とした議論でしたが、逆に大学入学前の高校生をターゲットとしたMOOCを考えると、高校と大学の教育の連携が可能になってきます。
実際に日本のMOOCのひとつ「gacco」では、高校生向けの講義が用意されています。
たとえば、滋賀大学が提供する「高校生のためのデータサイエンス入門」を見ると、本格的なビッグデータを扱うわけではないものの、数学Ⅰの「データの分析」で習う手法では、高校生にも身近なスマートフォンやコンビニを取り上げつつ、データから有用な情報を引き出す方法について解説し、未来のデータサイエンティスト育成につなげています。
このように各種教育機関と連携することで、学習を行いたい全ての人に学習の場を提供することを実現しているのです。
4. MOOCを導入している主な大学
ここからは、現在MOOCを導入している主な大学について紹介します。
ハーバード大学
ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学によって2012年に設立されたオンライントレーニングプロバイダー「EdX」では、世界最高の教師、大学、教育機関が世界中の学習者に提供する、ユニークで質の高いコースを提供しています。
「19世紀のオペラ:マイアベーア、ワーグナー、そしてヴェルディ」や、「スーパーヒーローの興隆とそのポップ・カルチャーへの影響(The Rise of Superheroes and Their Impact On Pop Culture)」など、最近注目のテーマから古典的なテーマまで、実に多彩に用意されているため、自身の興味や好みに合わせて講義内容を選択できます。
フローニンゲン大学
フローニンゲン大学では、イギリス発のMOOCプラットフォームである「Future Learn」において「Young People and Their Mental Health(若者とその精神的健康)」を公開しています。
現在、10代の若者の5人に1人が何らかの精神的健康問題を発症している課題に対し、一般的な精神的健康問題がどのようにして発症するか、それらの問題についてどのように対処または予防するかを学びます。
ペンシルバニア大学
世界的に有名なMOOCプラットフォームのひとつ「Coursera」で公開されている専門講義「Business foundations(ビジネス基盤)」では、5つの専門講義でマーケティング・経理・運営・財務の基礎を学習できます。
各専門講義の修了後に課される実践型プロジェクトを終了させると、修了証が発行されるため、その後の就職活動や転職活動に活かすことも可能です。
東京大学
東京大学は、edXとCoursera上で複数のMOOCを提供しています。
そのひとつである「UTokyo GUC」は学生が教員と直接交流できる講義で、東大の正規課程の講義と同様、学術的にレベルの高いものとなっています。
講義は、1回90分の授業5回ないし10回で構成され、1週間もしくは2週間で終了します。クラスは少人数制で、7人から20人程度の規模で学習を進めます。
また、教員の講義を聞くのみならず、学生同士のディスカッションの場も設けられており、政治史、メディア研究、数学などの科目に加え、4つのレベルの日本語学習クラスが用意されています。
筑波大学
JMOOC内のプラットフォームのひとつ「gacco」で公開している「嘉納治五郎とオリンピック・ムーブメント」では、筑波大学の前身である東京高等師範学校元校長・嘉納治五郎が招致に成功した1940年東京オリンピックと、オリンピックを通じてこれからのグローバル社会に何を伝えていくべきか解説しています。
講義内容は、2020年開催予定の東京オリンピック及び2019年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の内容を意識したものになっているため、それまでスポーツに興味がなかった人にとっても、歴史的側面からスポーツやオリンピックへの理解を深めることができます。
5. MOOCのおすすめ英語講座
ここでは、MOOCの主な配信団体の中から、英会話学習に特におすすめのサービスを4つご紹介します。
配信団体によって学習内容に特徴がありますので、気になる団体があったらぜひチェックしてみてくださいね。
Conversational English skills
このコースでは、英会話能力の向上を目的としており、基礎英会話をじっくりと学習することができます。
ダイアログを聞いたりグループディスカッションを行ったりしながら、楽しく英会話能力を高めていけるため、初心者の方はもちろん、楽しみながら英語を勉強したい方におすすめの講義です。
提供大学:清華大学(中国北京市)
コース期間:10週間
勉強時間の目安:週に4時間ほどの学習
コース費用:修了証取得のみに49米ドルが必要
受講に必要な英語レベル目安:初級
プラットフォーム:edX
Exploring English: Language and Culture
このコースでは毎週違うトピックのショートビデオを通して、世界言語である英語やイギリス文化について網羅的に学ぶことができます。コース全体を通して、クイズやディスカッションにも取り組むよう工夫されているため、イギリス英語や文化に触れたい方には特におすすめの講義です。
提供大学:ブリティッシュカウンシル
コース期間:4週間
勉強時間の目安:週に2時間ほどの学習
コース費用:無料
受講に必要な英語レベル目安:中級
プラットフォーム:British Council
English for the workplace
このコースでは海外で働くために必要な日常英語力を身につけることができます。ビジネスシーンで必要とされる実践的な英会話を体系的に学ぶことができるため、海外で働いてみたい方はぜひチャレンジしてほしい講義です。
提供大学:ケンブリッジ大学(イギリス)
コース期間:4週間
勉強時間の目安:週に2時間ほどの学習
コース費用:無料
受講に必要な英語レベル目安:簡単な日常会話ができるレベルの英語力
プラットフォーム:FutureLearn
Listening, speaking, and pronunciation
このコースでは、正しい英語の発音、早口の英語も聞き取れるリスニング力、ネイティブスピーカーが使う英会話表現など、中級からさらに上のレベルの英語力を身につけることができます。より高度な英語学習を行いたい方や、英語圏への移住を検討している方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
提供大学:マサチューセッツ工科大学
コース期間:制限なし
勉強時間の目安:週に3時間ほどの学習
コース費用:無料
受講に必要な英語レベル目安:中級以上で、大学・大学院レベルに相当
プラットフォーム:cousera
6. MOOCを活用して、ハイレベルな英語学習を行おう!
インターネットが普及し、自宅で何でも済ませることができるようになってきた今、英会話の学習も自宅で完結する時代が到来しています。
自宅にいながら海外の有名な大学の学位が取得できたり、有名企業のCEOの講義が受けられるなど、何でも手に入るMOOCは現代にピッタリな画期的なサービスだといえます。
MOOCで英語で知識の拡大を行えば、効率的に英語学習に励めることでしょう。気になった方はぜひ本記事を参考に、MOOCを活用した英語学習にチェレンジしてみてください。

コメント